第１回まほろば連句「あなにやし歌仙」
６月３０日に開始した「第１回まほろば連句」は、７月２２日に無事終了しました。参加してくださった皆様、読んでくださった皆様に厚く御礼申し上げます。
【表】
1.(夏)あなにやし えをとめ恋ひて 茅の輪かな 惟光
2.(雑)ハクビシンにも 戻る平安 玉源
3.(雑)のどすぎて 白き衣も ういもなし 茶夢
4.(夏)天の香具山 夏風ぞ吹く 白花
5.(雑)[月]蒼穹に 出でよ帆を張れ 月の船 惟光
6.(秋)彦星の行く 路を照らして 玉源
【裏】
7.(雑)遠き日の 契りを胸に 機を織り 茶夢
8.(雑)幾夜経にけむ 袖を濡らして 惟光
9.(雑)松風に ほのかに動く 簾かな 玉源
10.(秋)淡き吐息は 虫の音に消ゆ 茶夢
11.(秋)静けさに 星も降るらし 草の露 一条
12.(雑)少女（をとめ）のかけし 願ひかなえよ 白花
13.(雑)[月]月よりの 使者と呼ばれし 頼もしさ 玉源
14.(雑)腕（かひな）に抱け（いだけ） 幼子の未来（あす） 一条
15.(冬)母の背で 雪喜びし 吾も母ぞ 茶夢
16.(雑)年ふるごとに 積もる思ひは 一条
17.(春)[花]花の色 ながめせしまの 小町とや 惟光
18.(春)井筒にかけし 君も陽炎 茶夢
【名残りの表】
19.(雑)ささがにの 通へる道は いかならむ 於邇
20.(雑)君往く道を 照らすあけぼの 一条
21.(冬)本懐を 遂げて向かふや 泉岳寺 玉源
22.(雑)一宿（ひとよ）明かしぬ 品川の宿 惟光
23.(雑)懐と 牌擦る指に 夢の跡 茶夢
24.(秋)我が身も露と 消なましものを 於邇
25.(秋)夜もすがら 君見送りし 秋の山 玉源
26.(秋)あとは飯炊き 待つは松茸 茶夢
27.(秋)秋刀魚焼く 浦の苫屋に 入り日差し 白花
28.(冬)大根（おほね）のごとき 妹が腕（ただむき） 於邇
29.(雑)[月]あらたまの 月の光に 照らされて 惟光
30.(雑)青褐（あおかち）色の 海に白魚 一条
【名残りの裏】
31.(冬)あけぼのに 消ゆはまぼろし 雪の果 茶夢
32.(雑)思ひぞ積もる 後朝の文 惟光
33.(雑)朝の川 渡らむ人を 偲ひつつ 玉源
34.(春)[花]花摘む指を 染める紅花 一条
35.(雑)唐衣 言の葉重ね 日も経ちて 於邇
36.(春)春は来にけり みちのくの里 執筆