第３回まほろば連句
１１月８日、立冬を期して始まった「第３回まほろば連句」は、ひょんなことから第４句目で二筋に分裂し、それぞれ進行してゆくという意外な展開になりました。それも名残りの表に入る直前（通算１８句目）で無事に一本化し、１２月１４日（討ち入りの日ですねぇ）に無事に終了しました。
参加してくださった皆様、読んでくださった皆様にお礼申し上げます。やがて始まる第４回をお楽しみに。
【表】
1.山里に 人目もかれず 冬立ちぬ 惟光
2.木枯らしの中 海を偲ひて 玉源
3.さむしろに かたしく身には 春もなし 茶夢
4a.出るに出られぬ 布団温もり 一条
5a.冬月の ごとく凍れる まなざしに 於邇
6a.こもれる君が 思ひをぞうく 惟光
4b.春告げウグイス 練習中 一条
5b.月沈み 朝靄煙る 梅の園 於邇
6b.かぎろひの中 薫る墨の香 玉源
【裏】
7a.上野（かうづけ）の 胸に当てたる この刃（やいば） 玉源
8a.切るは情けか 果たさむ義理か 茶夢
9a.雉の声 谺すれども 霧深く 於邇
10a.高天原に 矢のみ至れり 玉源
11a.神々に この声聞けよと 矢文射て 惟光
12a.天に唾する 愚かさを知る 茶夢
13a.竹の間（ま）に 月をながめて 淡き夢 波留
14a.眠り妨ぐ 松の間の客 玉源
15a.ぬくぬくと コタツに丸まる 三毛ねこの 惟光
16a.鼻をくすぐる 紙縒り（こより）作らむ 茶夢
17a.紙吹雪 涙に滲む サクラチル 一条
7b.初瀬寺 かきのもとにて 文結び 茶夢
8b.吉となさぬか 合格祈願 一条
9b.我返り ふと見上げれば 子安神 茶夢
10b.煙たなびく 雪解けの山 於邇
11b.一面の れんげ畑を 汽車は行く 玉源
12b.窓辺に並ぶ ワンカップ酒 惟光
13b.かたぶける 目に月 耳に ジムノペディ 茶夢
14b.ローズヒップの 香りゆらめき 於邇
15b.皆既食 知らずに眠る 暖炉ネコ 玉源
16b.ホットミルクに 鼻ひくひくと 茶夢
17b.サクラサキ 酌み交はさむと 注ぎたる 玉源
18.あらたしき世 またはじまらむ 惟光
【名残りの表】
19.嘆息を 空に逃がして 薄く笑む 於邇
20.サマージャンボの 仇（かたき）とらむぞ 茶夢
21.うき世にて 待つは明日の 宝船 惟光
22.今日は今日とて 踊りあかさむ 於邇
23.えぢゃないか 自由気ままの ステップで 玉源
24.おはりの殿の 夢は駆け逝く 茶夢
25.金鯱に またがり虚空に 舞ひ上がり 惟光
26.日すでに高く 時はせまれり 於邇
27.卒論を 抱えて走る 通ひ路 惟光
28.いとしにくしは 増えぬ束（たば）かな 茶夢
29.月代（さかやき）を 剃りてまとめし 後ろ髪 玉源
30.出来るとすれば 見守る事だけ 梨亜
【名残りの裏】
31.獲物追ひ 野生のままに 駆けめぐる 於邇
32.煤（スス）を払ひて 年を越せとや 一条
33.年を越す 前に下書き 書かまほし 紗兎
34.イメトレからは 先に進まず 梨亜
35.手をとりて 君誘はむ 花月夜 茶夢
36.桜を陰に 聞く小夜曲 於邇