第５回まほろば連句
立夏の３日後、５月８日に始まった「第５回まほろば連句」は、７月２０日をもって無事に完結いたしました。参加してくださった方々、ご覧くださった方々に、厚く御礼申し上げます。
【表】
1.とりどりに 咲き競ひたる 庭躑躅 於邇
2.かたみに照らし にほひ増しけり 玉源
3.五月雨 濡れる若葉の やはらかに 紗兎
4.窓辺にすごす 日曜の午後 惟光
5.時を越え 世界を越ゆる 波を得て 玉源
6.君のもとへと 月の船漕ぐ 於邇
【裏】
7.かいなくて 流るは噂 ばかりなりとも 茶夢
8.噂とて 思ふ心は 真心ばかり 惟光
9.五月雨に 揺れる言の葉 露と落ち 一条
10.ふと見上げれば 霞む天弓 於邇
11.旅宿る ここは潮吹く 鯨（いさな）の背 茶夢
12.父の背中で 眠る幸せ 紗兎
13.居酒屋に つれてゆかれて 夜半の月 惟光
14.暖簾に腕押し 気合い入れよと 一条
15.供されし 茄子美しや 糠に釘 玉源
16.うまくつけよと 微笑む我が師 茶夢
17.鐘の音が 桜と散りし 恋悼む 於邇
18.柿実る頃 知り初めし人 玉源
【名残りの表】
19.身につける 衣装もお茶も 渋好み 茶夢
20.猫の目を避け 人の目を避け 玉源
21.初鰹 茄子の鴫焼き 冷やし酒 於邇
22.麦とろの右 葱削ぎて添ふ 玉源
23.秋萩の 咲き濫るるに 茶屋一つ 惟光
24.格子並べて 色競ふ見ゆ 茶夢
25.おいでませ 夏は涼しく 百物語 一条
26.千と一夜を 待ちこがれつつ 惟光
27.まづ読まむ 課題図書なる 『夢十夜』 玉源
28.残りかぞえて 夜も更けゆく 波留
29.有明の 月待ちこがるるぞ 空財布 惟光
30.紙一重なる 忠義不忠義 玉源
【名残りの裏】
31.ここへ押せ いいや押さぬと 泥試合 茶夢
32.隙を突かれて 共倒れとなる 玉源
33.わかくさの つまをアイツと あらそへば 惟光
34.野守は見しや いにしへの春 茶夢
35.学舎に 九重匂ふ 八重桜 一条
36.あまたのゑみに こころときめき 茶夢