第１０回まほろば連句

　３月２３日に始まった「第１０回まほろば連句」は年を越して１月９日、無事に完結しました。参加してくださった方々、ご覧くださった方々に厚く御礼申し上げます。

【表】

1.卒業に　花粉うれしや　涙の日　　　惟光

2.尽きせぬ思ひ　胸に迫りて　　　渋源

3.去る人の　名残や花に　声もなし　　　白兎

4.華やぐ時節　巡り来たれり　　　紅梅

5.ぼんぼりや　月と競ひて　枝の先　　　於邇

6.加茂川白川　だらりの帯よ　　　おいけ

【裏】

7.ますらをの　尽せし誠　今は夢　　　渋源

8.青葉豊けし　鎌倉の路　　　白兎

9.ひとり舞う　烏帽子の紐は　くれないか　　　おいけ

10.夢の残り香　如何にとやせん　　　白兎

11.この腕に　抱きし君を　求めゐて　　　惟光

12.願い叶ふた　北の岸壁　　　渋源

13.つまづきて　君の手をとる　夕月夜　　　白兎

14.くらはし山の　道ぞけはしき　　　惟光

15.お宝を　夢見て登る　チュウ太郎　　　渋源

16.行く手に待つは　金の輝き　　　於邇

17.散る花と　ともに舞いたる　蜜蜂や　　　凡虫

18.このひとさしと　思ひ定めて　　　渋源

【名残りの表】

19.かの人と　盃重ぬるや　冷やし酒　　　白兎

20.思ひ語りつ　独酌にして　　　渋源

21.もの言ふが　ごとき笑顔に　月の光（かげ）　　　白兎

22.日の光（かげ）も添ふ　薬師の尊像（みかた）　　　渋源

23.浄瑠璃を　語る親仁や　夢うつつ　　　惟光

24.憂ひ隠せど　色に出にけり　　　於邇

25.穴竃で　焼いた器の　夕景色　　　不届

26.愛づるが如き　ひぐらしの声　　　渋源

27.夕顔の　白きか見ゆる　癪の床　　　白兎

28.師匠面（づら）して　さする手の先　　　惟光

29.萩に月　桜紅葉と　入り乱れ　　　於邇

30.盃とるも　雨に流るる　　　白兎

【名残りの裏】

31.雷鳴の　轟く空に　たま翔びて　　　於邇

32.こちらにひとり　あちらにもひとり　　　渋源

33.山間の　露天風呂にて　日の出待つ　　　鈍蛾

34.ほのかに透きて　白き影見ゆ　　　於邇

35.さくら花　吉野の山に　霞立ち　　　渋源

36.まだ見ぬ方に　心ひかるる　　　波留


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