第１１回まほろば連句

　平成２０年５月２５日に始まった「第１１回まほろば連句」は、１年７ヶ月を経た平成２１年１２月２５日に無事に完結しました。参加してくださった方々、ご覧くださった方々に厚く御礼申し上げます。

【表】

1.すこやかに　天をめざすや　松の花　　　白兎

2.枝を翔び潜（く）く　燕（つばくらめ）かな　　　渋源

3.梅雨晴れ間　清しき光　身に受けて　　　於邇

4.あくびやはらか　路地裏の猫　　　白兎

5.なつかしや　誰（た）が三味の音（ね）ぞ　昼下がり　　　惟光

6.三日月眉の　女（ひと）いまいづこ　　　於邇

【裏】

7.八の字の　髭たくはへし　人の妻　　　渋源

8.舞姫とほく　於母影に見ゆ　　　白兎

9.長き夜に　管弦楽を　聴きをれば　　　惟光

10.肌寒の風や　一炊の夢　　　渋源

11.比叡の山　訪ぬる人も　ほかになく　　　波留

12.白露むすぶ　うらみ葛の葉　　　於邇

13.名月に　狐も踊る　石舞台　　　渋源

14.今夜来むやと　気もそぞろなり　　　白兎

15.庭駆け回る　犬を横目に　こたつねこ　　　渋源

16.眠りに誘う　鉄瓶の湯気　　　於邇

17.酌み交わす　杯のぬくみや　花開く　　　白兎

18.今踏み出だす　新たなる道　　　渋源

【名残りの表】

19.空の青　梢の緑を　仰ぎ見て　　　於邇

20.ためいき深し　赤字の帳簿　　　惟光

21.むすぶ手に　弥陀の誓いを　疑はで　　　おいけ

22.幼子興じる　鬼遊びかな　　　於邇

23.山茶花の　木立静かに　影隠し　　　白兎

24.焼き芋買うて　足早に去る　　　惟光

25.しぐるる夜は　女（おなご）もすなる　品さだめ　　　おいけ

26.すべなき思ひ　胸にひそめて　　　白兎

27.盃を　干せや笑顔で　別れの日　　　惟光

28.本懐遂げし　心晴れやか　　　渋源

29.夕月夜　ふと梅の香の　流れ来て　　　白兎

30.妹抱きしめつ　鎌倉の浜　　　惟光

【名残りの裏】

31.うち寄する　波の響きも　遠くなり　　　渋源

32.木洩れ日淡き　山の道ゆく　　　白兎

33.別れ来て　思ひし萎えて　握り飯　　　惟光

34.ほとびるほどに　涙こぼれぬ　　　渋源

35.桜咲く　告げこし便りに　口づけて　　　於邇

36.旅立つ子らの　背を見送りぬ　　　惟光

←連句ページの目次へ