かたくり。片栗。ユリ科の多年草。
北海道や本州の北中部の山野に自生。葉は一対、楕円形で、つやがあり、うすい紫色の斑紋があります。早春、その葉の間からは花軸が１５センチほど伸びて、その先にうつむいたような淡紫色の六弁花が一個咲きます。この地下茎からとるデンプンが片栗粉。白い良質のデンプンで、料理に使ったり、湯でといて飲みますが、現在は、ほとんどがジャガイモから作られています。
万葉集では、この家持の一首にしか登場しませんが、有名な歌なのでどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。詠まれたのは天平勝宝２（７５０）年３月。家持は越中の国（富山県）に越中守として赴任中でした。都を遠く離れた北国での春の訪れは、家持にとって大きな喜びだったのでしょう。かたかごの花の可憐な美しさに、少女たちの様子が思い浮かびます。
